VILLA STYLE

気持ちのいい「別荘の過ごし方」

Vol.01

薪ストーブスピリッツ

薪ストーブのある暮らしについてお話を伺いました

Tさんご夫妻は3年前に伊豆高原の城ヶ崎エリアに土地を求めて、新築をお建てになりました。城ヶ崎海岸の駅に近く、春は桜、夏はナラやコナラの新緑に囲まれる理想的な環境です。

T邸はエンジの色違い煉瓦とベージュのスタッコ壁にチュダー様式を取り入れた英国風の外観、内装は漆喰壁やブラックウォールナットの無垢材を惜しげもなくフローリングに張り巡らせた本物志向です。そして、リビングにはご夫妻のご希望で薪ストーブが設えられています。

最近、リゾートハウス関連の雑誌に薪ストーブや暖炉の愉しみ方が取り上げられることも多く、興味をお持ちの方も多いと思いますが、果たして憧れだけで取り付けて、使いこなせるだろうか、と躊躇してしまうというのが実際のところではないでしょうか。

今回は、T邸の「薪ストーブのある暮らし」を取材させていただき、いろいろとお話を伺いました。






一晩にだいたい一束から二束くらいを消費します。

まず、薪の調達ですが、自然の豊かなリゾート地では木々のメンテナンスのために枝打ちは日常的に行われますので、造園業者の方にお願いしておけば意外と潤沢に調達できるそうです。もちろん有料ですが、中には処分するのだからと無料で下さるラッキーな場合もあるそうです。


焚きつけるのはコツさえ覚えてしまえば難しいものではないそうです。何と言っても薪を燃やす炎の魅力は、ガスの炎や灯油の炎とは比べようもありません。まるで、妖精のようにゆらゆらと形や色を変えて燃える火を眺める時間は経験したら夢中になること間違いありません。

また、燃えるときの香りも大きな魅力。木の種類によってもその香りは変化しますし心和む温かな香りが部屋全体を包み込んでくれます。そして、燃え尽きた後に残る木灰は菜園やガーデニングに最適な肥料となります。アルカリ性の木灰は酸性土を中和してくれるだけではなく、カルシュウムやリン酸などミネラル分たっぷり。美味しい野菜や、きれいなバラの花をもたらしてくれるのだそうです。






取材を終えて

さて、お話を伺い薪ストーブそのものの魅力も改めて憧れるところですが、ご夫妻の自然環境への造詣の深さに大感激でした。

ご主人様も奥様も「薪ストーブ」に拘ったのは「木が好きだから」なのだそうです。「えっ?木が好きなのに木を切って燃やしてしまうのはいいんですか?」との私の愚問にご主人様から「木の循環と共存」について教えていただきました。

木々が私たちにもたらしてくれる最大の恩恵といえば光合成によるCO2の削減。でも、木にも寿命があり、老木になると若木だったころは活発だった光合成も衰え、何と逆に二酸化炭素を放出し始めるのだそうです。(びっくり!)

で、森林全体の光合成を活発に保つには木を育てることはもちろん、成長しすぎた木を伐採し、また新しい木を育てる。それが繰り返されて森が活性化するのだそうです。そして、伐採した木を燃やして暖をとり、香りを愉しみ、最後に残った木灰で野菜や花を育てる!なるほど、だから「薪ストーブ」なのですね!

木も森も山も大好き。とおっしゃるご夫妻は名山100選を制覇中。毎年お二人で山に出かけ、これまでに62山を制覇したそうです。

木をこよなく愛し、木の循環を「薪ストーブ」を通じて実践し、ご生活されているTさんご夫妻。木灰によってコンディション良く保たれたお庭は、奥様が丹精されたさまざまな草木花でいっぱいです。

雑誌のイメージだけで「薪ストーブ」を捉えていた私にとって、今回の取材はとても勉強になりました。お話ありがとうございました。


Information

薪ストーブを使うことで、人も自然の循環の一部になることができる…。薪ストーブに対して、ただただ「ナチュラルでワイルドで何だかお洒落」という漠然としたイメージのみでしたが、今回の取材でその理由を具体的に知ることができました。炎が新たな土をつくり、芽吹いた緑が大きく育って空気をつくり、緑は朽ちて薪となり、再び炎として燃え上がる…。薪ストーブを使うことで、その神秘的な自然の輪廻の様子を間近で見ることができるのです。伊豆高原のゆったりとした時間の中で、ゆらゆらとした炎を眺めながら、贅沢な瞑想のひと時を過ごされてはいかがでしょうか。

●取材・撮影:メープルハウジング ●画像、本文などの無断転用は法律により禁止されています。

ページの先頭へ